【広島】土屋鞄は工芸的作品を製作 | 広島・童具店実際に調査しました
広島駅につながる路面電車駅「天満町駅」から歩いて5分。童具店・広島は、平和記念公園から続く、緑いっぱいの平和大通りの側道沿いにあります。
4月下旬の金曜日お昼すぎ。店内には2〜3組の親子連れ。ランドセルを背負ったわが子の姿を若いママがパチリと写真撮影。
もっと幼い兄弟姉妹が退屈してぐずらないようにプレイルームも用意されているので、ランドセル選びに集中ができます。
私が店内に入ると、教育された、感じの良い女性スタッフが数名待機されていて、若い女性スタッフが程よい距離で話しかけてこられ、質問に丁寧に答えてもらいました。
ランドセルの基本形は「ヌメ革のランドセル」以外は全てが同じ
殆どの工房系ランドセルで言えることですが、ララちゃんランドセルのように、タイプによってランドセルの形そのものが大きく違うという事はありません。
違いは素材、内装のデザイン、染色の色などです。
土屋鞄の場合「ヌメ革のランドセル」がカブセのデザインからして、他のランドセルとは違っていましたが、他は全て同じです。
A4フラットファイル対応
A4フラットファイルが入るんですか?
「はい、今年から入るようになりました。世の中の流れを取り入れ、子どもたちが使いやすいようにA4フラットファイルに対応したんですよ。使う子供さんの立場になってランドセルを造っているんです。
工房系は親がターゲット?子供がターゲット?
私が他のランドセルメーカーの方から聞いた話によると、他のランドセルメーカーの殆どがA4フラットファイル対応に変更するなか、土屋鞄は「ランドセルに斜めに入れれば入ります」と公式サイトに記されていたようです。
2018年度はランドセルが不振だったようです。推測ですが、それがきっかけとなり2019年度はA4フラットファイル対応への変更に至ったのかも知れませんね。
今年度ランドセルを購入する方にはどうでも良い話なのですが、どの工房系のランドセルメーカーも「鞄」造りから始めており、ランドセルもたまたま革工芸の作品の一つとして製作販売してきました。
革工芸は使うのが大人ですから、なかなか子供の目線になるのは難しかったのかも知れませんね。しかし、今では背負う機能は工房系がかなり専門系に近づいてきています。
芸術作品のようなランドセル
土屋鞄のランドセルのデザインは芸術作品とも言えるほど見事なできでした。
しかし、刺繍や剣や盾のエンブレムが入っているランドセルと芸術作品のようなランドセルを並べると子供はどちらを選ぶでしょうか?
まず工芸作品のような牛革やコードバンのランドセルを選ぶ子供はいないでしょう。女の子なら可愛らしい刺繍ランドセルを選びますよね。
まず親が工房系ランドセルを購入すると決め連れて行く。子供はその中からしか選べないので「色」で決めるんです。
土屋鞄のランドセルの素材
ランドセルは素材別に展示してあって、整然と並び手にとって比較しやすいディスプレイです。
ランドセルの素材は「牛革、コードバン、クラリーノ、ヌメ革」の4種類。ヌメ革のランドセルは1種類だけあり、雨に弱く濡れるとシミになってしまいます。
こういった面に鞄の工房系の姿が見えますね。
ヌメ革以外は全てが同じ形なので、素材別に分けてないと見ただけでは区別はできない程です。
素材の違いではっきりわかるのはコードバン。見た目はキメの細かさと艶と輝きは、革工芸品を知らない人でもすぐに区別できるほど違う。
それにカブセを指で押さえると、牛革と違って「硬い」ことがよく分かりますよ。
「アトリエ」はイタリアの革を使った内装が非常にデザイン的に目を引き、特に女の子の気持ちをキャッチするランドセルだなーという印象でした。
背負う機能が充実
背あてのクッションは厚く心地よいものです。スタッフの方の「どの素材のランドセルも背あてや肩ベルトの裏にソフト牛革を使っているんですよ。」
2つのウレタンを貼り合わせたU字型の背あて。背負い心地を高いレベルで充実させている事がわかります。
コードバンだけはU字型の内側が一段低くなっていない理由を聞くのを忘れました(汗)。
背カンは左右に動く一般的なものです。可動部は金属ではなくてプラスティック。非常に強度のあるプラスティックなので、全く問題のないものです。
ただ首の部分が少し薄いのではないかな?と気になりました。2mm程度の厚みでも問題はないでしょうが、4mmあるものを見ているだけに物足りなさを感じたのも確かです。ただの印象であって実際の強度は十分なのでしょう。
土屋鞄の年間生産量は?
私「年間の生産量はいくらですか?」
スタッフ「そのあたりは公表していなんです。」
土屋鞄のシェアは工房系ランドセルの中で8割を占めていると言われています。ここからは私の推測です。おそらく10%もないであろうシェアの鞄工房山本が年間1万5千本程度。、最低でも10万本は製作しているのではないでしょうか。そうとすれば工房系としてはかなりの生産量です。
もちろん生産量が多くても品質は良く、大量生産系のメーカー(セイバンやフィットちゃん)と工房系との境もだんだん無くなって来ている気がします。
工芸品の性質が強かった工房系ランドセルは「背負いやすい」子供目線のランドセルに近づいていて、逆にセイバンのランドセルは素材は違っていても工房系の美しさに近づいています。
広島市の平和大通りの側道沿いにある広島「童具店」という名称の土屋鞄。スタッフはとても親切で丁寧に説明してくださいました。
まとめ
- 工房系のランドセルの最大大手土屋鞄は、やっとA4フラットファイル対応の生産を始めた。
- 美しいと感じるランドセル。
- おすすめの工房系ランドセルを教えて下さい
参考記事)