軽いリュックではなく何故重いランドセルなんでしょう?
来年の娘のためにランドセルを準備しなくちゃなりません。娘は小柄なため、ランドセルが歩いているように見えるのではと可哀想な気もします。
そもそも何故ランドセルなのでしょう。リュックサックとかに比べて重いのに、ランドセルはそれほど優れているのでしょうか?
ご存知でしょうか。ランドセルの原型は昔の陸軍の兵隊が背負う「背嚢(はいのう)」という、背中に背負った荷物入れです。戦闘中に動き回るので、動きをなるべく妨げずまた頑丈なものでした。
VS
ランドセルは背嚢の流れをくんでいるので、物を運ぶのに合理的にできています。
成長期の子供の体への負担も最小限になるように工夫されている、それがランドセルです。これから説明していきます。
ランドセルの特徴とメリットが大きい理由
- ランドセルに荷物を入れると両手がフリーになる
- ランドセルは体に対して左右均等に負荷をかける
- 肩ベルトや背当て、背カンの一つ一つが背負安く工夫されている
1.両手がフリーになる
説明の必要もないかと思いますが、子供たちが登下校中にアクシデントがあった場合、両手は自分を守るため、とっさに対応するために何も持たずに空けておくことで、事故を未然に防いだり、被害を最小限にできる可能性が増します。
最近の子は転んだ時に手がつけずに、顔を怪我したりすることがあるそうです。それならなおさら両手はフリーにしておいた方が良いでしょう。
体に対して左右均等に負荷がかかる
まだ体が出来上がっていない幼い子供がランドセルを使わずに、手提げ袋だけで登下校したら、体の片側だけに手提げ袋の重さがかかり続けます。
これを6年間も続けると、整形学的に見ると脊柱や骨盤にかたよりが生じる可能性が指摘されています
もし重い手提げ袋を使うなら、両手に振り分けて左右に持つべきですネ。
しかしそうすると両手がふさがるので1.両手がフリーになるどころか全く自由が利きません。
3.肩ベルトや背当て、背カンの一つ一つが背負い安く工夫されている
背負い安い工夫が随所にあるため、2~3キロの教科書、副教材でも一番合理的に軽く負担なく運べます。
ランドセルが多少重くても、合理的に運べるのですからランドセルを選ぶとことになります。
リュックサックそのものは軽いのですが、教科書など入れて背負うと、肩ベルトが肩に食い込み、荷物は尻に当たり、それはランドセルに比べ物にならないほど背負いにくいものです。
以上より、ランドセルが一番合理的な通学用の道具ということが、わかっていただけたでしょうか。
機能満載のランドセルでも負担が大きすぎる?現在のランドセル事情
2018年の記事に興味深い内容がありました。大正大学の白土健教授の調査結果です。
東京の体重22kgの小学1年生(7)のランドセルの中身が5kg。それに加えてサブバッグ1,3kg。
注意すべきは、教科書だけでなく塾の教材も詰め込んでいる子供もいるという事実。重くなるのは当然です。
小学1~3年生20人の平均は7.7kg、最高で9.7kg。
平均で7.7kgというのは、あまりに異常。塾の教材も入れた結果なら、教科書は重くなっているものの、教科書だけが原因とは言えません。
教科書そのものが大きくなり、かつページ数も増えています。
下は一般社団法人教科書協会の調査です。参考)教科書協会の公式サイト
2005年度の全教科の1〜6年生の教科書ページ数合計は4857ページ。
2015年度では34%増の6518ページ。
2018年度7585ページ。
ランドセルに代わるリュックを評価してみる
2019年度現在、ランドセルが重すぎる、高額すぎるという理由で一部で流行っている「リュック」について評価しました。
現物は手元にないので、実際に背負わなくてもわかる範囲での評価であることは断っておきます。
なお、商品そのものをディスる意図はまったくありません。飽くまでもリュックとランドセルという軸での評価だということを予めお断りしておきます。
上のリュックを200校で使っているそうです。
軽い、安いので子供にも、家計にも優しい(9,504円)というものです。
家計には優しいのですが、本当に5kg以上の教科書など入れて軽く背負えるんでしょうか?
サイズ:タテ 37cm × ヨコ27cm × マチ 11cm
重さ:690g
確かに軽いし、かなりの容量があります。
容量は、
ランドセルに比べて縦は6センチ深く、横幅は4センチ弱広い。奥行は1センチ狭い。
しかし、軽くて良さそうでも5kg以上入れると次のような問題が浮き彫りになります。
- 肩ベルトのクッション性が弱い。肩に食い込む。
- 肩ベルトの弯曲がない(肩にフィットしにくい)
- 5kgも入れると後ろに引っ張られる。
- 形の定まらない袋に教科書を入れると動きに合わせて動くので歩きにくい。
- 袋形状なので、重い教科書が下に下にずれようとして重く感じる
- その結果ランドセル以上の負担が肩にかかる。
- 大容量がかえって重くなりすぎる結果になる。
リュックの機能・結論
価格が安い点だけは評価できます。リュックそのものは600g軽くても、重いものを入れたときの背負う機能は、ランドセルの方が何倍も上。リュックはありえないほど肩に負担になります。
5kgも入れると肩ベルトにはクッションカバーが必要です。入れる荷物が軽いものであれば、リュックも使えます。